лとрの 聞き分け (Л и Р)
2026年9月27日(更新:2026年10月12日)
ロシア語のлとрは、日本語のラ行1つの音に対応して聞こえがちですが、日本語のラ行にはない性質を持つ音です。硬子音のлもрも、舌先や前部を上の歯や歯茎につけて作る歯音・歯茎音という共通点がありますが、лはこれに加えて舌の奥を持ち上げて響かせ、рは舌先を震わせる点が違います。
発音の 違いとは
| 文字 | 舌の使い方 | 例 |
|---|---|---|
| л(硬子音) | 舌先を上の歯につけたまま、舌の奥を持ち上げる | стол(テーブル) |
| ль(軟子音) | 舌の奥は上げず、前寄りで柔らかく | соль(塩) |
| р(硬子音) | 舌先を歯ぐきで何度も震わせる | рука́(手) |
| рь(軟子音) | 震えが1回に近い | три(3) |
硬子音のлは、舌の奥を使う暗い響きの音で、日本語のラ行にはない音です。軟子音のльは、舌の奥を上げないため日本語のラ行に近い柔らかさになりますが、震えはありません。硬子音のрは、舌先を歯ぐきに何度も当てて震わせる音で、日本語のラ行の1回だけはじく音とは別物です。軟子音のрьは震えが1回に近づきますが、それでも舌先を当てる動きが残ります。
聞き分けの 手が かり
日本語のラ行音も、条件によって口蓋化(軟音化)したり複数の音声が現れたりしますが、ロシア語のлやрのように意味を区別する対立ではありません。ロシア語を聞くとき、лとрのどちらも「ラ行に近い音」に聞こえがちですが、作る場所や震えの有無が違います。лは舌先を歯につけながら舌の奥も上げ、рは舌先を震わせます。迷ったときは、震えているかどうかを手がかりにします。
ロシア語のつづりには、直前の子音が軟子音であることを示す記号(軟音記号 ь)や母音字(я, ю, е, ё, и)が存在します。учи́тель(先生)のльや、ря́дом(隣に)のрьのように、あとにьや軟母音字が続くかどうかで、軟子音で発音するかどうかが決まります。стул(椅子)やгора́(山)のように、あとに硬母音字が続けば、硬子音のл・рのまま読みます。
日本語との 違い
日本語のラ行の子音にも、口蓋化(軟音化)などの音声の違いはありますが、ロシア語のように意味を変える区別・対立はありません。ロシア語には、舌の奥を使う硬子音のл、前寄りの軟子音のль、震える硬子音のр、震えが1回に近い軟子音のрьの、4つの音があります。日本語の耳には、この4つがすべて「ラ行っぽい音」に聞こえてしまう点が、いちばんの違いです。
стол(テーブル)をラ行の感覚で発音すると、лの奥の響きが消えます。рука́(手)も同じで、震えを作らずにラ行ではじくと、別の音として聞こえます。慣れないうちは、震えの有無だけを意識しても、聞き分けの助けになります。
聞き分けの練習では、лакとракのように、лとрだけが違う2語の録音を聞いて、どちらの単語かを選ぶ練習ができます。
練習問題
正しいものを選んでください。
- 硬子音のлとрに共通する調音の場所は( 舌先・歯茎 / 舌の奥だけ )です。
- рを作るときの舌先の動きは( 1回はじく / 何度も震わせる )です。
- 日本語のラ行の音(意味を変える種類)は( 1つ / 4つ )です。
答え
- 舌先・歯茎(лは舌先を歯茎につけたまま舌の奥も持ち上げ、рは舌先を歯茎に当てて震わせる)
- 何度も震わせる(トリル)
- 1つ(лとрのような4つの区別・対立がない)
参考に した 資料
- Russian phonology(英語版Wikipedia)「velarized laminal denti-alveolar [l̪ˠ]」(硬子音のлが歯・歯茎音であり奥も響かせる音であること)、「Hard /r/ is postalveolar, typically a trill [r̠]… Soft /rʲ/ is an apical dental trill [r̪ʲ], usually with only a single contact」(рとрьの震え)(2026-09-27閲覧)
- Р (кири́ллица)(ロシア語版Wikipedia)「произно́сится как твёрдый согла́сный звук [р] и́ли мя́гкий [р']」(рの硬軟の対)(2026-09-27閲覧)