存在と所有(есть / нет)
入門 2026-09-21
ロシア語では「〜がある・いる」と「〜がない・いない」を、есть と нет という決まった単語で表します。У меня́ есть сестра́.(私には姉妹がいます)のように、存在するものは主格のままですが、нет のあとの単語は生格になります。過去のことを言うときは、быть の過去形と組み合わせます。入門(ТРКИのA1)の範囲では、現在と過去のесть/нетの文の作り方を押さえれば足ります。
どんなときに使うか
「持っている」「ある・いる」と言うときは、у + 生格 + есть を使います。「持っていない」「ない・いない」と言うときは、у + 生格 + нет を使い、無いものは生格になります。場所に何かがあるかどうかを言うときも、同じ組み立てが使えます。日本語には物には「ある」、人や動物には「いる」という使い分けがありますが、есть/нет にはこの区別がなく、人でも物でも同じ単語を使います。
- У А́нны есть сестра́.(アンナには姉妹がいます)
- Сего́дня нет уро́ка.(今日は授業がありません)
作り方
нет のあとの単語の語尾を、生格と同じように変えます。
| 元の形 | 生格(нетのあと) | 日本語 |
|---|---|---|
| брат(兄弟・男性) | бра́та | 兄弟がいない |
| сестра́(姉妹・女性) | сестры́ | 姉妹がいない |
| уро́к(授業・男性) | уро́ка | 授業がない |
| соба́ка(犬・女性) | соба́ки | 犬がいない |
нет のあとの単語は、生格の記事と同じ語尾の変え方をします。есть のあとの単語は主格のままで、語尾を変える必要はありません。過去のことを言うときは、есть/нет の代わりにбыть の過去形を使い、あったときは主語の性に合わせてбыл/была́/бы́ло/бы́ли を使います。無かったときは、性・数に関係なく、いつも「не́ было」を使います。
日本語・英語とくらべると
у + 生格 + есть という組み立ては、日本語の「私には〜がある」に近い形です。ただし文の主役はесть のあとの単語で、日本語のように「私」が主語にはならず、私にあたる語(у меня́)は生格になります。
есть は英語の there is や have に近い働きをします。ただし нет のあとの単語が主格でなく生格になる点は、英語には無い変化です。
対格との使い分け
「〜がある・いる」というесть/нетの文は、「〜を見る」という普通の文とは組み立てが違います。「持っている」を対格の文で言おうとする間違いが起きやすいので、区別しておきます。
| 使う場面 | 使う格 | 例 |
|---|---|---|
| 「〜がある・いる」 | 主格 | У меня́ есть брат.(私には兄弟がいます) |
| 「〜がない・いない」 | 生格 | У меня́ нет бра́та.(私には兄弟がいません) |
| 「〜を見る」 | 対格 | Я ви́жу бра́та.(私は兄弟を見ます) |
例文
各文の下に、単語ごとに「どの格か」と「なぜその格か」を書きます。
- У меня́ есть сестра́.(私には姉妹がいます)
- меня́ → 生格(у のあと)。「私のところに」を表す。
- сестра́ → 主格。存在するものが主役なので主格のまま。
- У бра́та нет маши́ны.(兄には車がありません)
- бра́та → 生格(у のあと)。「兄のところに」。
- маши́ны → 生格(нет のあと)。無いものは生格になる。
- Вчера́ не́ было уро́ка.(昨日、授業はありませんでした)
- не́ было → 過去の「ない」を表す決まった言い方。性・数に関係なく同じ言い方を使う。
- уро́ка → 生格(не́ было のあと)。今のнетと同じしくみ。
- У Анто́на была́ кни́га.(アントンには本がありました)
- была́ → 過去形。кни́га が女性・単数なのでбыла́ を使う。
- кни́га → 主格。存在したものが主役。
- В го́роде есть теа́тр.(町に劇場があります)
- теа́тр → 主格。「ある」ものが主役。
- го́роде → 前置格(в のあと)。場所を表す。
- У них нет соба́ки.(彼らには犬がいません)
- них → 生格(у のあと)。代名詞они́の生格。
- соба́ки → 生格(нет のあと)。無いものは生格になる。
練習問題
正しいものを選んでください。
- У меня́ есть( брат / бра́та / бра́ту ).
- У бра́та нет( маши́на / маши́ны / маши́ну ).
- Вчера́( нет / не́ было / есть )уро́ка.
答え
- брат(есть のあとは主格)
- маши́ны(нет のあとは生格)
- не́ было(過去の「ない」を表す決まった言い方)
参考にした資料
- Государственный стандарт по русскому языку как иностранному. Элементарный уровень(Министерство образования РФ、1999)§2.2.2「Именительный падеж」「Родительный падеж」の使い方の一覧と例文(2026-09-20閲覧)
- 東京外国語大学 言語モジュール ロシア語 文法「存在文」(2026-09-20閲覧)
- ロシア語能力検定 到達度判定基準4級「名詞、形容詞、代名詞の格変化」(2026-09-20閲覧)