本文へ

与格(да́тельный паде́ж)

2026年9月21日(更新:2026年11月3日)

与格は「誰に」を表す格で、дать(あげる)や писа́ть(書く)の相手を示します。年齢を言う Мне два́дцать лет. や、ну́жно・мо́жно・нельзя́ の文で「誰が」を言うときにも使います。人のところへ行くときは、前置詞 к のあとにも与格を置きます。

使う場面

手紙を書く相手や、本などを渡す相手を言うときに使います。年齢を言うときの「誰が何歳か」の「誰」や、ну́жно(必要)・мо́жно(許可)・нельзя́(禁止)の対象となる人も与格になります。「行く」の行き先は、場所なら в・на+対格、人なら前置詞 к+与格で、前置詞も格も変わります。

  • Я пишу́ бра́ту.(私は兄に手紙を書きます)
  • Мне два́дцать лет.(私は20歳です)

作り方

人称代名詞の与格はつづりが大きく変わるので1つずつ覚え、名詞は性ごとに語尾を変えます。

作り方
元の形与格日本語
я(私)мне私に
ты(あなた)тебе́あなたに
он / оно́(彼・それ)ему́彼に
она́(彼女)ей彼女に
брат(兄・男性)бра́ту兄に
сестра́(姉・女性)сестре́姉に
окно́(窓・中性)окну́窓に

子音で終わる男性名詞は у を足し、-й・-ь で終わる男性名詞はそれを ю に変えます(музе́й → музе́ю、слова́рь → словарю́)。中性名詞は語尾のо/еをу/юに変えます。女性名詞はа → е、я → е に変えます。-ия で終わる名詞と -ь で終わる女性名詞は и になります(Мари́я → Мари́и、тетра́дь → тетра́ди)。この記事の年齢と ну́жно の例文は人称代名詞だけですが、Бра́ту два́дцать лет.(兄は20歳です)のように名詞も与格にします。

日本語との違い

日本語の「に」がいつも与格になるわけではなく、「学校に行く」は в шко́лу(対格)、「兄に会う」は уви́деть бра́та(対格)です。反対に、Мне два́дцать лет.(私は20歳です)のように、日本語では「私は」で表す人を、ロシア語では与格で表す文もあります。

対格との使い分け

動詞の目的語(対格)と、「〜に書く・渡す」という相手(与格)は取り違えやすい組み合わせです。

対格との使い分け
使う場面格例
動詞の目的語対格Я ви́жу сестру́.(姉が見えます)
「〜に書く」(渡す相手)与格Я пишу́ сестре́.(私は姉に手紙を書きます)
「〜のところへ行く」(人が目的地)与格(к のあと)Я иду́ к сестре́.(私は姉のところへ行きます)

例文

  1. Ве́чером я пишу́ бра́ту.(夕方、私は兄に手紙を書きます)
  2. пишу́ → 現在形。писа́ть(書く)の1人称単数の変化。
  3. бра́ту → 与格。手紙を書く相手。
  1. Мне два́дцать лет.(私は20歳です)
  2. мне → 与格。20歳である人。
  3. лет → 「〜歳」を表す決まった言い方(数詞と名詞の記事で扱う生格・複数)。
  1. Мне ну́жно идти́ в шко́лу.(私は学校に行かなければなりません)
  2. мне → 与格。行く必要がある人。
  3. ну́жно → 「必要」を表す単語。あとに不定詞が来る。
  4. шко́лу → 対格(в のあと)。行き先の場所。
  1. Тебе́ мо́жно чита́ть кни́гу.(あなたは本を読んでもいいです)
  2. тебе́ → 与格。読んでもよい人。
  3. чита́ть → 不定詞。мо́жно のあとは不定詞。
  1. Он идёт к сестре́.(彼は姉のところへ行きます)
  2. идёт → 現在形。идти́ の3人称単数の変化。
  3. сестре́ → 与格(к のあと)。行き先の人。
  1. Она́ пи́шет письмо́ ма́ме.(彼女は母に手紙を書きます)
  2. пи́шет → 現在形。писа́ть の3人称単数の変化。
  3. ма́ме → 与格。手紙を書く相手。

練習問題

正しいものを選んでください。

  1. Я пишу́( сестра́ / сестре́ / сестру́ ).
  2. ( Я / Мне / Меня́ )два́дцать лет.
  3. Он идёт к( брат / бра́ту / бра́та ).
答え
  1. сестре́(пишу́ の相手は与格)
  2. Мне(年齢を言うときの「私」は与格)
  3. бра́ту(前置詞 к のあとは与格)

練習問題(例文の穴埋め4問)

参考にした資料

  1. 存在と所有(есть・нет)естьとнетで「ある・いる」「ない・いない」を言う文が作れるようになります。
  2. 造格(твори́тельный паде́ж)「〜で」「〜として」、с と組み合わせた「〜と」を表す造格の語尾と、使う場面が分かります。
  3. 生格(роди́тельный паде́ж)「〜の」「〜がない」や数のあとの名詞に使う生格の語尾と、使う場面が分かります。
  4. 前置格(предло́жный паде́ж)場所・話題・乗り物を表す前置格の語尾と、вとнаの選び方が分かります。