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仮定法(бы)

2026年10月6日

「条件文(е́сли)」の記事では、実際に起こりうる条件の言い方を扱いました。「お金があったら買ったのに」のように、事実と違うことを仮定するときは、動詞を過去形にして бы という小さな単語を添えます。この形を仮定法と言います。仮定法は、事実と違う仮定のほかに、丁寧な頼み方や「〜してくれたらいいのに」という願いにも使います。

使う場面

実際にはそうではないことを「もし〜だったら」と考えて、そのときの結果を言うときに使います。

  • Е́сли бы у меня́ бы́ло вре́мя, я бы пошёл с тобо́й.(時間があったら、一緒に行ったのに)
  • Я хоте́л бы заказа́ть сто́лик.(テーブルを予約したいのですが)

作り方

仮定法は、動詞の過去形に бы を添えて作ります。形は過去形と同じなので、主語の性と数で語尾が変わります。

作り方
主語仮定法日本語
я・ты・он(男性)чита́л бы読むのに
я・ты・она́(女性)чита́ла бы読むのに
оно́(中性)бы́ло быあるのに
мы・вы・они́(複数)чита́ли бы読むのに

形は過去形でも、意味は過去とは限りません。Е́сли бы за́втра был выходно́й(明日が休みだったら)のように、今のことにも、これからのことにも使います。過去のことか今のことかは、вчера́(昨日)や сейча́с(今)のような単語や話の流れで分かります。

е́сли を使う文では、е́сли の文と結果を言う文の両方に бы を入れます。е́сли の文では е́сли のすぐあとに бы を置き、е́сли бы の形にします。結果を言う文では、бы は動詞のすぐあとか、強調したい単語のあとに置くのがふつうです。бы は文の初めには置きません。бы にはアクセントがなく、前の単語に続けて発音します。

実際の条件との使い分け

実際の条件との使い分け
言いたいこと形例
これから起こりうる条件е́сли+未来形Е́сли за́втра бу́дет дождь, мы оста́немся до́ма.(明日雨が降ったら、家にいます)
事実と違う仮定е́сли бы+過去形、過去形+быЕ́сли бы вчера́ не́ было дождя́, мы пое́хали бы на да́чу.(昨日雨が降らなかったら、ダーチャに行ったのに)

上の文は、雨が降るかどうかがまだ分かりません。下の文は、昨日は雨が降ったのでダーチャに行けなかった、という事実を前提にしています。日本語の「〜たら、〜したのに」の「のに」にあたる気持ちを、ロシア語では бы が表します。

е́сли を使わずに、条件を名詞の句で言うこともあります。Без тебя́ я бы не спра́вился.(あなたがいなかったら、私はやり遂げられなかったでしょう)では、без тебя́(あなたなしで)が条件にあたります。На ва́шем ме́сте я бы согласи́лся.(私があなたの立場なら、同意します)のように、на ва́шем ме́сте(あなたの立場なら)もよく使う言い方です。

丁寧な言い方

仮定法を使うと、頼みや希望を遠回しに言えます。

丁寧な言い方
形例日本語
хоте́л(а) бы+不定形Я хоте́ла бы посмотре́ть э́ту ку́ртку.このジャケットを見たいのですが
мне хоте́лось бы+不定形Мне хоте́лось бы зада́ть вопро́с.1つ質問をしたいのですが
не могли́ бы вы+不定形Не могли́ бы вы говори́ть ме́дленнее?もう少しゆっくり話していただけませんか
ты бы+過去形Ты бы отдохну́л немно́го.少し休んだらどう

Я хочу́(〜したい)よりも Я хоте́л бы のほうが控えめに聞こえ、店や窓口でよく使います。хоте́л と хоте́ла は話し手の性で選びます。Мне хоте́лось бы は хоте́ться(〜したい気がする)を使った無人称の言い方で、さらに丁寧です。ты бы や вы бы を過去形と組み合わせると、「〜したらどうですか」とやわらかく勧める言い方になります。

что́бы+過去形の願い

「相手に〜してほしい」と言うときは、хоте́ть(〜したい)のあとに что́бы を置き、その後ろの動詞を過去形にします。что́бы の中に бы が入っているので、これも仮定法の1つです。

что́бы+過去形の願い
主語形例
同じ(自分がしたい)хоте́ть+不定形Я хочу́ прийти́ пора́ньше.(私は早めに来たいです)
違う(相手にしてほしい)хоте́ть, что́бы+過去形Я хочу́, что́бы ты пришёл пора́ньше.(あなたに早めに来てほしいです)

что́бы のあとの動詞の性と数は、してほしい相手に合わせます。Ма́ма хо́чет, что́бы де́ти легли́ спать.(お母さんは子どもたちに寝てほしいと思っています)では、相手が де́ти なので複数の легли́ になります。「〜するために」の что́бы も同じ形を使います。そちらは「目的の言い方」の記事にまとめてあります。

例文

  1. Е́сли бы я знал её а́дрес, я бы написа́л ей письмо́.(彼女の住所を知っていたら、手紙を書いたのに)
  2. знал бы、написа́л бы → 過去形+бы。実際には住所を知らない。
  1. Е́сли бы сейча́с бы́ло ле́то, мы бы пошли́ купа́ться.(今が夏だったら、泳ぎに行くのに)
  2. бы́ло бы → 中性の過去形+бы。今のことでも過去形を使う。
  1. Без ва́шей по́мощи мы бы не нашли́ гости́ницу.(あなたが助けてくれなかったら、ホテルは見つからなかったでしょう)
  2. без ва́шей по́мощи → 名詞の句で条件を言う。е́сли は使わない。
  1. Я хоте́л бы обменя́ть де́ньги.(両替をしたいのですが)
  2. хоте́л бы → 男性の話し手。Я хочу́ よりも控えめ。
  1. Не могли́ бы вы помо́чь мне с чемода́ном?(スーツケースを運ぶのを手伝っていただけませんか)
  2. могли́ бы → мочь の複数形の過去形+бы。вы に合わせる。
  1. Роди́тели хотя́т, что́бы сын учи́лся в университе́те.(両親は息子に大学で学んでほしいと思っています)
  2. что́бы … учи́лся → してほしい相手は сын なので男性の過去形。
  1. Ты бы позвони́л ба́бушке.(おばあさんに電話したらどう)
  2. позвони́л бы → 2人称の仮定法で、やわらかく勧める。

練習問題

正しいものを選んでください。

  1. Е́сли бы у меня́( бу́дут / бы́ли )де́ньги, я бы купи́л э́ту маши́ну.
  2. Я хочу́, что́бы вы( прие́хали / прие́дете / прие́хать )к нам.
  3. Е́сли за́втра бу́дет хоро́шая пого́да, мы( пойдём / пошли́ бы )в парк.
答え
  1. бы́ли(е́сли бы のあとは過去形)
  2. прие́хали(相手にしてほしいことは что́бы+過去形)
  3. пойдём(これから起こりうる条件なので未来形。仮定法ではない)

参考にした資料

  1. 不定代名詞(кто-то・кто-нибудь・ко́е-кто)-то・-нибудь・ко́е-の使い分けと、не́кого・не́чегоの文が作れます。
  2. 副動詞(чита́я・прочита́в)「〜しながら」「〜してから」を表す副動詞の作り方と読み方が分かります。
  3. 能動形動詞(чита́ющий・чита́вший)「〜している…」「〜していた…」を表す能動形動詞の作り方と読み方が分かります。
  4. 被動形動詞(напи́санный・напи́сан)「〜された…」を表す被動形動詞の長語尾と短語尾の作り方が分かります。