不定代名詞 (кто-то・кто-нибудь・ко́е-кто)
2026年10月6日(更新:2026年10月12日)
- 文法
- 中級
кто(誰)や что(何)のような疑問詞に -то・-нибудь・ко́е- を付けると、「誰か」「何か」を表す不定代名詞になります。где(どこ)や когда́(いつ)に付ければ「どこか」「いつか」を表す不定副詞です。日本語ではどれも「誰か」「何か」と訳せますが、ロシア語では話し手がその人や物を知っているかどうかで3つを使い分けます。もう1つ、не́кого(頼める人がいない)・не́чего(することがない)のように、疑問詞に не́- を付けて「〜すべき人・物がない」と言う形もあります。
使う 場面
人や物があることは分かっていても、それが誰か・何かを言えないとき、またはどれでもよいときに使います。
- Кто-то звони́л, пока́ тебя́ не́ было.(あなたがいない間に、誰かから電話がありました)
- Купи́ что-нибудь на у́жин.(夕食に何か買ってきて)
作り方
疑問詞のあとに -то か -нибудь をハイフンでつなぎます。ко́е- は疑問詞の前にハイフンでつなぎます。
| 疑問詞 | -то | -нибудь | ко́е- |
|---|---|---|---|
| кто(誰) | кто-то | кто-нибудь | ко́е-кто |
| что(何) | что-то | что-нибудь | ко́е-что |
| где(どこで) | где-то | где-нибудь | ― |
| куда́(どこへ) | куда́-то | куда́-нибудь | ко́е-куда́ |
| когда́(いつ) | когда́-то | когда́-нибудь | ― |
| како́й(どんな) | како́й-то | како́й-нибудь | ― |
кто・что・како́й の部分は、文の中の役割に合わせて格変化します。-то・-нибудь の部分は変わりません。
| 格 | 例 | 日本語 |
|---|---|---|
| 生格 | У кого́-нибудь есть ру́чка? | 誰かペンを持っていませんか |
| 与格 | Отда́й ключ кому́-нибудь из сосе́дей. | 鍵を近所の誰かに渡して |
| 造格 | Она́ говори́т с ке́м-то по телефо́ну. | 彼女は誰かと電話で話しています |
| 前置格 | Они́ спо́рят о чём-то. | 彼らは何かのことで言い争っています |
前置詞と一緒に使うとき、-то・-нибудь の形は前置詞のあとにそのまま置きます。ко́е- だけは前置詞の前に出て、ко́е с ке́м(何人かの人と)、ко́е о чём(いくつかのことについて)のように2つに分かれます。
-то・-нибудь・ко́е-の 使い分け
| 言いたいこと | 使う形 | 例 |
|---|---|---|
| 確かにいる・あるが、話し手にも誰か・何かが分からない | -то | Кто-то стои́т у две́ри.(誰かがドアのところに立っています) |
| どれでもよい・いるかどうかも分からない | -нибудь | Кто-нибудь зна́ет его́ а́дрес?(誰か彼の住所を知っていますか) |
| 話し手は知っているが、相手には言わない | ко́е- | Я принёс тебе́ ко́е-что.(あなたにちょっとしたものを持ってきました) |
-то は、実際に起きたことや今起きていることを言う文によく出ます。誰かがドアのところに立っているのは事実で、それが誰なのかを話し手が知らない、という場合です。
-нибудь は、まだ決まっていないことを言う文に出ます。疑問文、命令文、これからのことを言う文、хоте́ть(〜したい)の文がその例です。Кто-нибудь зна́ет его́ а́дрес? と聞く人は、知っている人がいるかどうかも分かっていません。
ко́е- は、話し手には分かっているのに、わざとぼかして言うときの形です。持ってきたものが何かを話し手は知っているので、ここで что-то を使うと「何を持ってきたのか自分でも分からない」と聞こえてしまいます。
не́кого・не́чегоの 文
疑問詞に не́- を付けた形は、不定形の動詞と組んで「〜すべき人・物・場所がない(ので、できない)」ことを表します。する人は与格で言い、主語は置きません。
| 形 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| не́кого | 〜すべき人がいない | Мне не́кого спроси́ть.(私には聞ける人がいません) |
| не́чего | 〜すべき物・ことがない | Нам не́чего де́лать.(私たちにはすることがありません) |
| не́где | 〜する場所がない | Ему́ не́где жить.(彼には住む所がありません) |
| не́куда | 〜へ行く先がない | Мне не́куда пойти́.(私には行く所がありません) |
| не́когда | 〜する時間がない | Ей не́когда отдыха́ть.(彼女には休む暇がありません) |
не́кого・не́чего には主格がなく、動詞が求める格になります。前置詞と一緒のときは、не́ が前置詞の前に出て не́ с кем(一緒にする人がいない)のように分かれます。過去のことは бы́ло、これからのことは бу́дет を加えて言います。
никого́ не や ничего́ не の文は「誰も・何も〜しない」と事実を言うだけですが、не́кого・не́чего の文は「したいのに、その相手や物がない」ことまで言います。
| 文 | 日本語 |
|---|---|
| Я никого́ не спроси́л. | 私は誰にも聞きませんでした |
| Мне не́кого бы́ло спроси́ть. | 私には聞ける人がいませんでした |
例文
- Кто-то оста́вил здесь зо́нтик.(誰かがここに傘を忘れていきました)
- кто-то → 忘れた人がいるのは確かだが、誰かは分からない。
- Ты когда́-нибудь был в Петербу́рге?(あなたはペテルブルクに行ったことがありますか)
- когда́-нибудь → 疑問文。「いつでもよいので一度でも」。
- Дай мне что-нибудь почита́ть.(何か読むものを貸して)
- что-нибудь → 命令文。どの本でもよい。
- Он куда́-то ушёл и ещё не верну́лся.(彼はどこかへ出かけて、まだ戻っていません)
- куда́-то → 出かけたのは確かだが、行き先は分からない。
- Я хочу́ ко́е о чём с тобо́й поговори́ть.(あなたと少し話したいことがあります)
- ко́е о чём → 前置詞 о が ко́е と чём の間に入る。話す内容を話し手は知っている。
- В суббо́ту мне не́куда бы́ло пойти́.(土曜日、私には行く所がありませんでした)
- не́куда → 「行く先がない」。бы́ло で過去を表す。
- мне → 与格。「私には」。
- Не́ с кем бы́ло поговори́ть.(話し相手がいませんでした)
- не́ с кем → 前置詞 с が не́ と кем の間に入る。
練習問題
正しいものを選んでください。
- Вчера́( кто-то / кто-нибудь )позвони́л, но не сказа́л своё и́мя.
- Е́сли( кого́-нибудь / кто-нибудь )придёт, скажи́, что я на рабо́те.
- Мне( не́чего / ничего́ )чита́ть, все кни́ги я уже́ прочита́л.
答え
- кто-то(電話があったのは確かで、誰かが分からない)
- кто-нибудь(来る人が主語なので主格。кого́-нибудьは生格・対格)
- не́чего(不定形 чита́ть と組んで「読むものがない」)
参考に した 資料
- ロシア語能力検定 到達度判定基準1級「不定代名詞・否定代名詞(副詞)」(2026-10-06閲覧)
- Государственный стандарт по русскому языку как иностранному. Первый уровень 2.2.3「Местоимение」と2.3.2の例文(что-нибудь)(2026-10-06閲覧)
- 黒田龍之助『初級ロシア語文法』(三修社)第44課「否定代名詞と不定代名詞」
- 城田俊『現代ロシア語文法』(東洋書店)第20課 III「ко̀е-что́・ко̀е-кто́」、V「не́による否定代名詞・副詞」