格の使い方の追加(部分の生格・期間の対格・стать+造格・状態の与格)
初級 2026-09-21
生格・与格・対格・造格・主格には、それぞれ入門で見た使い方のほかに、もう1つずつよく使う使い方があります。全体のうちの一部を表す生格、名詞を主語にできる与格の状態、繰り返す頻度を表す対格、стать・рабо́татьと組む造格、名前をそのまま述べる主格です。初級(ТРКИのA2)の範囲では、この5つの追加を押さえれば足ります。
どんなときに使うか
「〜を少し」という部分には生格を、「〜が好きだ」「〜だった」という気持ちや状態を感じる人には与格を、「毎週」「毎年」という繰り返す頻度には対格を、стать(〜になる)・рабо́тать(〜として働く)のあとの職業には造格を使います。称号や店の名前をそのまま名乗るときには主格を使います。
- Вы́пейте ча́шку ча́я.(お茶を1杯飲んでください)
- Андре́ю нра́вится футбо́л.(アンドレイはサッカーが好きです)
作り方
部分を表す生格は、カップや量を表す単語のあとに置きます。
| 元の形 | 生格(部分) | 日本語 |
|---|---|---|
| чай(お茶・男性) | ча́я | お茶を(少し) |
| молоко́(牛乳・中性) | молока́ | 牛乳を(少し) |
| хлеб(パン・男性) | хле́ба | パンを(少し) |
頻度を表す対格は、ка́ждый(毎〜)のあとに置きます。
| 元の形 | 対格(頻度) | 日本語 |
|---|---|---|
| ка́ждая неде́ля(毎週・女性) | ка́ждую неде́лю | 毎週 |
| ка́ждый ме́сяц(毎月・男性、無生物) | ка́ждый ме́сяц | 毎月(語尾は変わらない) |
стать・рабо́татьのあとの職業は造格になります。
| 元の形 | 造格 | 日本語 |
|---|---|---|
| врач(医者・男性) | врачо́м | 医者に(なる・として働く) |
| учи́тельница(女性の先生・女性) | учи́тельницей | 先生に(なる・として働く) |
気持ちや状態を感じる人は与格になり、人称代名詞だけでなく名詞も使えます。
| 元の形 | 与格 | 日本語 |
|---|---|---|
| Андре́й(アンドレイ・男性) | Андре́ю | アンドレイは(好きだと感じる) |
| ма́ма(母・女性) | ма́ме | 母は(〜だと感じる) |
Магази́н называ́ется «Гло́бус».のように名前をそのまま名乗るときは主格を使います。すでに知っているМеня́ зову́т Ле́на.(対格の記事)とは組み立てが違い、Меня́ зову́тは「私」を対格にしますが、называ́етсяでは主語(店や物)も名前も主格のままで、人ではなく物や場所の名前を言うときの決まった言い方です。
造格との使い分け
быть・стать・рабо́татьはどれも造格と組みますが、意味が異なります。
| 動詞 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| быть(過去・未来) | 〜だった、〜になるだろう(単なる事実) | Он был врачо́м.(彼は医者でした) |
| стать | 〜になる(変化) | Он стал врачо́м.(彼は医者になりました) |
| рабо́тать | 〜として働いている(今の仕事) | Он рабо́тает врачо́м.(彼は医者として働いています) |
быть+造格は過去や未来の文でよく使われ、今の自分が何であるかを言うときは、造格ではなく主格を使うのが普通です(Я студе́нт.(私は学生です)は主格)。
例文
- Вы́пейте, пожа́луйста, ча́шку ча́я.(お茶を1杯飲んでください)
- ча́я → 生格。カップに入っている「お茶」の一部を表す。
- Мы встреча́емся ка́ждую неде́лю.(私たちは毎週会います)
- ка́ждую неде́лю → 対格(頻度)。繰り返す出来事を表す。
- Он стал врачо́м в про́шлом году́.(彼は去年医者になりました)
- стал → стать の過去形(男性)。
- врачо́м → 造格。стать のあとの職業。
- Андре́ю нра́вится футбо́л.(アンドレイはサッカーが好きです)
- Андре́ю → 与格。好きだと感じる人(名詞でも使える)。
- футбо́л → 主格。「好かれているもの」が文の主役になる。
- Магази́н называ́ется «Гло́бус».(その店は「グローブス」という名前です)
- называ́ется → -ся動詞の現在形。「〜という名前である」。
- «Гло́бус» → 主格。店の名前はそのまま置く。
- Она́ рабо́тает учи́тельницей в шко́ле.(彼女は学校で先生として働いています)
- учи́тельницей → 造格。рабо́тает のあとの職業。
- Мне бы́ло о́чень ве́село на пра́зднике.(お祭りで、私はとても楽しかったです)
- мне → 与格。楽しさを感じる人。人称代名詞でも名詞でも使える組み立て。
- ве́село → 状態を表す述語。
練習問題
正しいものを選んでください。
- Да́йте, пожа́луйста, стака́н( молоко́ / молока́ / молоку́ ).
- Мы ви́димся ка́ждый( год / го́да / году́ ).
- Она́ ста́ла( врач / врача́ / врачо́м ).
答え
- молока́(生格・部分を表す)
- год(無生物・男性なので語尾は主格と同じ形)
- врачо́м(стать のあとは造格)
参考にした資料
- Государственный стандарт по русскому языку как иностранному. Базовый уровень(Министерство образования РФ、1999)§2.2.2「Родительный падеж」の「обозначение части целого」、「Дательный падеж」の「лицо, испытывающее какое-либо состояние」、「Творительный падеж」の「характеристика лица... при глаголах быть, стать, работать」、「Винительный падеж」の「время действия (продолжительность, повторяемость)」、「Именительный падеж」の「идентификация лица, предмета」の記載(2026-09-21閲覧)
- 東京外国語大学 言語モジュール ロシア語 文法「否定属格(生格)」「人称代名詞の与格」(2026-09-21閲覧)
- ロシア語能力検定 到達度判定基準 3級 (2026-09-20閲覧)