ペチカ

指示代名詞・限定代名詞・否定代名詞​(э́тоттотвеська́ждыйсамникто́

初級 2026-09-21

э́тоттотは、話し手に近いものと遠いものを指し分ける代名詞です。веська́ждыйсамは範囲や強調を表し、никто́ничего́は「誰も・何もない」ことを表す代名詞です。э́тоттотвеська́ждыйсамは修飾する名詞の性・数・格に合わせて形が変わり、никто́ничего́は文中の役割に合わせて格変化します。初級(ТРКИのA2)の範囲では、э́тоттотвесьсамの格変化と、никто́ничего́を使う文の作り方を押さえれば足ります。

どんな​ときに​使うか

話し手に近いものを指すときはэ́тот、遠いものや前に出た話題を指すときはтотを使います。前に出た本を指してОн купи́л ту кни́гу.(彼はあの本を買いました)と言えば、話し手からの近さではなく、すでに話題になったものを指す働きになります。весьは「すべての」、ка́ждыйは「それぞれの」、самは「自分自身で」を表し、никто́ничего́は人や物が誰も・何もないことを表します。

  • Э́то тебе́, а то мне.(これはあなたに、あれは私にです)
  • Никто́ не пришёл.(誰も来ませんでした)

作り方

まずэ́тоттотの格変化を確認します。色の付いた部分が変わった部分です。

元の形日本語
э́тот(この・男性)主格 э́тотこの〜は
э́тот(この・男性)生格 э́тогоこの〜の
э́тот(この・男性)与格 э́томуこの〜に
э́тот(この・男性)対格 э́тотэ́тогоこの〜を
э́тот(この・男性)造格 э́тимこの〜で
э́тот(この・男性)前置格 э́томこの〜について
元の形日本語
э́тот(この・女性)主格 э́таこの〜は
э́тот(この・女性)生格 э́тойこの〜の
э́тот(この・女性)与格 э́тойこの〜に
э́тот(この・女性)対格 э́туこの〜を
э́тот(この・女性)造格 э́тойこの〜で
э́тот(この・女性)前置格 э́тойこの〜について
元の形日本語
э́тот(この・中性)主格 э́тоこの〜は
э́тот(この・中性)生格 э́тогоこの〜の
э́тот(この・中性)与格 э́томуこの〜に
э́тот(この・中性)対格 э́тоこの〜を
э́тот(この・中性)造格 э́тимこの〜で
э́тот(この・中性)前置格 э́томこの〜について
元の形日本語
э́тот(この・複数)主格 э́тиこの〜は
э́тот(この・複数)生格 э́тихこの〜の
э́тот(この・複数)与格 э́тимこの〜に
э́тот(この・複数)対格 э́тиэ́тихこの〜を
э́тот(この・複数)造格 э́тимиこの〜で
э́тот(この・複数)前置格 э́тихこの〜について
元の形日本語
тот(あの・男性)主格 тотあの〜は
тот(あの・男性)生格 того́あの〜の
тот(あの・男性)与格 тому́あの〜に
тот(あの・男性)対格 тоттого́あの〜を
тот(あの・男性)造格 темあの〜で
тот(あの・男性)前置格 томあの〜について
元の形日本語
тот(あの・女性)主格 таあの〜は
тот(あの・女性)生格 тойあの〜の
тот(あの・女性)与格 тойあの〜に
тот(あの・女性)対格 туあの〜を
тот(あの・女性)造格 тойあの〜で
тот(あの・女性)前置格 тойあの〜について
元の形日本語
тот(あの・中性)主格 тоあの〜は
тот(あの・中性)生格 того́あの〜の
тот(あの・中性)与格 тому́あの〜に
тот(あの・中性)対格 тоあの〜を
тот(あの・中性)造格 темあの〜で
тот(あの・中性)前置格 томあの〜について
元の形日本語
тот(あの・複数)主格 теあの〜は
тот(あの・複数)生格 техあの〜の
тот(あの・複数)与格 темあの〜に
тот(あの・複数)対格 тетехあの〜を
тот(あの・複数)造格 те́миあの〜で
тот(あの・複数)前置格 техあの〜について

次にвесь(すべての)とсам(自分自身で)を確認します。

元の形日本語
весь(すべての・男性)主格 весьすべての〜は
весь(すべての・男性)生格 всего́すべての〜の
весь(すべての・男性)与格 всему́すべての〜に
весь(すべての・男性)対格 весьвсего́すべての〜を
весь(すべての・男性)造格 всемすべての〜で
весь(すべての・男性)前置格 всёмすべての〜について
元の形日本語
весь(すべての・女性)主格 всяすべての〜は
весь(すべての・女性)生格 всейすべての〜の
весь(すべての・女性)与格 всейすべての〜に
весь(すべての・女性)対格 всюすべての〜を
весь(すべての・女性)造格 всейすべての〜で
весь(すべての・女性)前置格 всейすべての〜について
元の形日本語
весь(すべての・中性)主格 всёすべての〜は
весь(すべての・中性)生格 всего́すべての〜の
весь(すべての・中性)与格 всему́すべての〜に
весь(すべての・中性)対格 всёすべての〜を
весь(すべての・中性)造格 всемすべての〜で
весь(すべての・中性)前置格 всёмすべての〜について
元の形日本語
весь(すべての・複数)主格 всеすべての〜は
весь(すべての・複数)生格 всехすべての〜の
весь(すべての・複数)与格 всемすべての〜に
весь(すべての・複数)対格 всевсехすべての〜を
весь(すべての・複数)造格 все́миすべての〜で
весь(すべての・複数)前置格 всехすべての〜について
元の形日本語
сам(自分自身で・男性)主格 сам彼自身は
сам(自分自身で・男性)生格 самого́彼自身の
сам(自分自身で・男性)与格 самому́彼自身に
сам(自分自身で・男性)対格 самсамого́彼自身を
сам(自分自身で・男性)造格 сами́м彼自身と
сам(自分自身で・男性)前置格 само́м彼自身について
元の形日本語
сам(自分自身で・女性)主格 сама́彼女自身は
сам(自分自身で・女性)生格 само́й彼女自身の
сам(自分自身で・女性)与格 само́й彼女自身に
сам(自分自身で・女性)対格 саму́彼女自身を
сам(自分自身で・女性)造格 само́й彼女自身と
сам(自分自身で・女性)前置格 само́й彼女自身について
元の形日本語
сам(自分自身で・中性)主格 само́それ自身は
сам(自分自身で・中性)生格 самого́それ自身の
сам(自分自身で・中性)与格 самому́それ自身に
сам(自分自身で・中性)対格 само́それ自身を
сам(自分自身で・中性)造格 сами́мそれ自身と
сам(自分自身で・中性)前置格 само́мそれ自身について
元の形日本語
сам(自分自身で・複数)主格 са́ми彼ら自身は
сам(自分自身で・複数)生格 сами́х彼ら自身の
сам(自分自身で・複数)与格 сами́м彼ら自身に
сам(自分自身で・複数)対格 са́мисами́х彼ら自身を
сам(自分自身で・複数)造格 сами́ми彼ら自身と
сам(自分自身で・複数)前置格 сами́х彼ら自身について

最後に否定代名詞никто́(誰も)とничего́(何も)を確認します。

元の形日本語
никто́(誰も)主格 никто́誰も
никто́(誰も)生格 никого́誰も(〜ない)
никто́(誰も)与格 никому́誰に〜も
никто́(誰も)対格 никого́誰を〜も
никто́(誰も)造格 нике́м誰と〜も
никто́(誰も)前置格 ни о ком誰について〜も
元の形日本語
ничто́(何も)主格 (ничто́)何も
ничто́(何も)生格 ничего́何も(〜ない)
ничто́(何も)与格 ничему́何に〜も
ничто́(何も)対格 ничего́何を〜も(否定文の目的語は生格の形を使う)
ничто́(何も)造格 ниче́м何と〜も
ничто́(何も)前置格 ни о чём何について〜も

э́тотは常に語幹にアクセントがあり、生格与格造格前置格э́тогоэ́томуэ́тимэ́томになります。тотвесьсамは、単音節の形(темтомвсемвсёмсам)と、語尾にアクセントが移る形(того́тому́всего́всему́самого́самому́сами́мなど)が混ざっているので、単語ごとに覚える必要があります。никто́ничего́は、前置詞を付けるとき ни と代名詞の間に前置詞をはさみます(у кого́ではなく ни у кого́о ком ではなく ни о ком)。ка́ждый(それぞれの)は形容詞の格変化но́выйと同じ語尾変化をします(ка́ждогока́ждомука́ждымなど)。

весьは、期間の長さを表す対格とも一緒に使います。весь день(一日中)は男性の対格がそのままの形で、всю неде́лю(一週間中)は女性の対格のюを使った形です。対格の記事で見た「期間を表す対格」(Я живу́ здесь ме́сяц.のような言い方)と同じ考え方で、весьを付けて範囲をはっきりさせています。ка́ждый деньは「毎日」で、繰り返しを表しますが、весь деньは「一日中」で、一つの日の全体を表す点が違います。この2つは形も意味も別の単語なので、取り違えないようにします。никто́ничего́を使う否定文では、過去形だけでなく現在形でも動詞の前にнеを置きます(Он никого́ не по́мнит.「彼は誰も覚えていません」)。

日本語・英語とくらべると

э́тоттотの使い分けは、日本語の「これ・この」と「あれ・あの」の使い分けに近い働きです。話し手に近いものを指すか、前に出た話題や遠いものを指すかで選ぶ発想は共通します。ただし日本語の「この」「あの」は名詞が何であっても形が変わりませんが、э́тоттотは修飾する名詞の性・数・格に合わせて自分の語尾も変えます。

例文

各文の下に、単語ごとに「どの格か」と「なぜその格か」を書きます。

  1. Я не зна́ю э́того челове́ка.(私はこの人を知りません)
  2. э́того → 生格。челове́к が活動体の男性名詞なので、対格は生格と同じ形になる。
  3. Он говори́л со все́ми студе́нтами.(彼はすべての学生と話しました)
  4. все́ми → 造格・複数。весь の複数造格。
  5. Я сам э́то сде́лал.(私は自分でこれをやりました)
  6. сам → 主格・男性。自分自身であることを強調する。
  7. Никто́ не пришёл на уро́к.(誰も授業に来ませんでした)
  8. никто́ → 主格。никто́ を使う文では動詞の前に не も必要(二重否定)。
  9. Она́ не сказа́ла ничего́.(彼女は何も言いませんでした)
  10. ничего́ → 生格。否定文の直接目的語なので生格の形を使う。「何も〜ない」も動詞の前に не が必要。
  11. Мы говори́ли о том студе́нте.(私たちはあの学生について話しました)
  12. том → 前置格・男性。тот の前置格(単音節なのでアクセント記号は付かない)。

練習問題

正しいものを選んでください。

  1. Я не зна́юэ́тот / э́того / э́томучелове́ка.
  2. Он говори́л совесь / все́ми / всехстуде́нтами.
  3. Никто́ / Никого́ / Никому́не пришёл на уро́к.
答え
  1. э́тогочелове́кは活動体の男性名詞なので対格は生格と同じ)
  2. все́ми(造格・複数)
  3. Никто́(文の主語になる主格)

参考に​した​資料

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